絹布をつくる

絹布をつくる
Silk fabrics woven by Mariko Yano

素材への想い
Feelings on materials

20代で染織に出会い、草木で染めた糸の輝きと美しさにふれ、生地をつくる喜びを味わった

繭を座繰りで「生繭繰糸」し、「撚り」をかけ
「藁灰汁精練」「草木染め」「織り」の一貫作業できもの・帯を制作する

一本の糸からつくりあげる生地
その素材づくりから関わる大切さ、その基本は私自身の中で揺らぐことはない

生繭繰糸
Spinning yarn from new cocoons

湯に浮かべた生繭からスルスルと生糸を引き上げる
糸を引く直前まで生繭の中の蛹は呼吸している
その“こもり巣”を糸にさせてもらうのだ

私の絹布づくりの根幹をなすのは、生繭から座繰りで引いた糸にある


草木の命を染める

草木の命を染める
Effect of the plants on silk yarn

山に入り木々に宿る神に感謝し、草・木・果・根を採集する

草−藍・刈安
木−やまもも・冬青などの樹皮
果−臭木・くちなし
根−紫根(日本紫)・日本茜

草木の命を染める

根の染料・紫根は、出雲国風土記(733年編纂)に記載されている染料である
記載された地、島根県雲南市で2000年から紫根(日本紫)の栽培が始まった

出雲根紫(いずもむらさき)と命名され
晩秋にその根を掘り出し、冬の冷水で鮮やかな紫色を染める

私の糸染めの中心になる染料である


光・風・水辺のささやきをきく

光・風・水辺のささやきをきく
The interwoven spirit of light, wind, and water

湖面に映る光・風がつくりだす、四季折々の風景

移ろいや輝き、万物の命の躍動が
制作のイメージづくりに多くのインスピレーションを与えてくれる

そのイメージを映し、制作したきもののタイトルを俳句で表現する