絹布をつくる

絹布をつくる
Silk fabrics woven by Mariko Yano

素材への想い
Feelings on materials

20代で染織の仕事に出会い、草木で染めた糸の美しさにふれ、生地をつくり上げる喜びを味わった。

絹織物の素材である繭を座繰りで「生繭繰糸」し、「撚り」をかけ、
「藁灰汁精練」「草木染め」「織り」の一貫作業に取り組んだ。

一本の糸からつくりあげる生地。
その素材づくりから関わる大切さ、その基本は私自身の中で揺らぐことはない。

生繭繰糸
Spinning yarn from new cocoons

湯に浮かべた生繭からスルスルと生糸を引き上げる。
糸を引く直前まで生繭の中の蛹は呼吸している。
その“こもり巣”を糸にさせてもらうのだ。

私の絹布づくりの根幹をなすのは、この生繭から座繰りで引いた糸にある。


草木の命を絹糸に移す

草木の命を絹糸に移す
Effect of the plants on silk yarn

草木はそれぞれ固有の色を持っている。
同じ樹皮でも春と秋では微妙に色が変化する。
野山に宿る神に感謝し、草木を採集する。

春から秋までが樹皮の採集時期。
山櫻からは控えめなさくら色を、冬青(ソヨゴ)からはねずを、やまももからは渋い黄味を染める。
臭木(クサギ)はその実が染料となる。純真な少女を思わせる水色を染める。
秋が深まり、その実は瑠璃色にかわる。

今年の実のつき具合はどうだろう。期待に胸をはずませ、いつもの場所に出かける。


光・風・水の声をきく

光・風・水の声をきく
The interwoven spirit of light, wind, and water

この地で巡りくる季節に花の開花を待ちわび、万物の命の躍動に耳を傾け、
立ち上る土の香、植物から放たれる気やエネルギーを全身で受け止める。

湖面に映る光・風がつくりだす四季折々の風景、移ろいや輝き、自然の摂理に合ったいとなみが、
イメージづくりに多くのインスピレーションを与えてくれる。

その賜り物を心のひだに宿らせ、イメージを膨らませ、着物に移す。